日医ニュースに掲載される

新居浜市医師会報に掲載された労災病院の服部達明先生の、「新居浜七不思議」の第1章の「魔法のことば“けんびき”」が、8月20日付の日医ニュースで紹介されました。

先の7月5日付でも松浦章雄先生の「厄落しの同窓会」が掲載されましたが、2ヵ月連続での掲載は珍しいことです。

 『魔法のことば“けんびき”』

 当地へ来る前は、愛媛県の方言というと、坊ちゃんの「そうだぞなもし」の世界かと思っていた。しかし、実際には“〜じゃけん”、“〜しょうわい”であった。“〜ぎり”や“〜がいに”、“いらう”、“おらぶる”なども何とかわかるようになった。

 しかし、わからないのが“けんびき”である。前任者から“けんびき”というのは“肩こり”のことだと申し送りがあり、そうかと思っていたら、外来で患者が「口唇のところにけんびきができた」というところをみると、単純にヘルペスのことも指すようである。新居浜市在住の先生と話していたら“けんびき”というのは由緒正しい言葉で、広辞苑にものっているというので、早速調べてみると“けんびき”とは“けんぺき”のなまった言葉であり、“痃癖”あるいは“肩癖”という字を書くとある。つまり、頚部から肩にかけての筋肉のこわばりを指すことは間違いないようである。

 しかし、バスの中で中年女性の会話を聞いていると、「けんびきがひどくって風邪をひいてしまった」などといっているのを耳にした。いったい全体“けんびき”とは何なのであろうか。外来で「こんなに頭が痛いのはけんびきのせいでしょうか」と聞かれると、どう答えてよいのか、答に詰まってしまう。

 逆に「調子が悪いのは“けんびき”のせいですよ」と、訳もわからずに答えると、さもわが意を得たりとという表情をされ、満足そうに帰っていく姿をみると、すべての病気は“けんびき”から生じると新居浜の人は信じており、病院へ来るのはそれを確信するためなのかもしれない。

 便利で魔法のような言葉であるが、いまだに何のことか完全に理解できず、不思議である。