橋本病(慢性甲状腺炎)

橋本病は甲状腺の病気で、自分の甲状腺に対する抗体(自己抗体)が発病に関与しています。中高年の女性に多く、男性の2〜7倍とされています。日本人は甲状腺に対する自己抗体の陽性率が高く、成人女性の10〜20%が陽性です。甲状腺は前頚部に有り、橋本病では大きく腫れることもありますが自分では気がつかない程度の腫れが多いようです。

甲状腺機能低下症になると、手足の浮腫、寒がり、かすれ声、皮膚乾燥、月経過多などの症状が出ます。浮腫は指で押した跡が残らない皮膚の肥厚化です。外観で特徴的なのはまぶたの腫れで、他に脱毛や眉の外側3分の1の希薄化があります。放置していると心臓が腫れたり、胸水や腹水が貯まったりします。脳の活動も鈍くなり、うつ病や認知症と間違えられることがあります。

治療は甲状腺ホルモンの内服です。

蛇足ですが、橋本病は病名に日本人の名前がついている4つの疾患の1つです(あとの3つは川崎病、菊池病、高安病)。橋本 策(ハカル) 先生が1912年にドイツの外科学雑誌に発表しました。