消化管憩室症はほとんど症状がなく、消化管検査、主に大腸内視鏡で指摘されることが多い疾患である。大腸に発症することが圧倒的に多く、まれに食道、胃、十二指腸、小腸でもみられる。憩室症とは、消化管の粘膜(内側)から漿膜(しょうまく)(外側)に嚢状(のうじょう)に突出した構造を呈する状態である。

大腸憩室は、ほとんどが後天性であり男性に多く、原因としては生活習慣様式、特に繊維成分の少ない欧米型の食事の摂取、肥満、便秘、運動不足及び高齢化社会などが報告されている。危険因子として飲酒、喫煙なども挙げられている。

合併症としては、最近、抗血栓薬の内服者の増加により憩室出血もふえてきている。症状は突然の下血がみられる。また発熱及び下腹部痛と共に発症する憩室炎も増加傾向にある。これらの合併症は腹部CTにて診断が可能で、前者は大腸内視鏡で、後者は抗生剤の点滴で保存的治療ができるようになってきている。ただ、大腸憩室を有する人の8割以上の人は無症候のまま一生終えている。

三木医院 三木芳夫