ライフサイクルとともに大きく変化する女性は、生物学的側面だけでなく、社会学的、心理学的側面も大きく関与していると考えられ未解明の部分も大きいというのが実態です。日本人成人を対象に行われた疫学調査では、不眠症の有病率は男性17.3%、女性21.5%という報告があります。さらに高齢者では女性でより高頻度に不眠が認められます。睡眠薬の使用頻度は、男性3.5%、女性5.4%と女性の方が高頻度で、男女ともに年齢とともに使用率が高くなります。

女性の睡眠は、月経の開始から、妊娠・分娩、育児期、更年期とそのライフステージに伴って変化します。具体的には月経周期に応じて不眠や過眠(日中の眠気)を生じることがあります。また、更年期には、ほてりや多汗などとともに不眠の訴えも増加しますが、この時期には子供の自立に伴う親子関係の変化など、不眠につながる心理的背景も多くなることが関係しています。その他、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の有病率は男性が女性の2倍であることより、ベッドパートナーのいびき・無呼吸による不眠は女性において顕著です。