日本耳鼻咽喉科学会では全国の対象医療機関5,565施設の内、3,536施設の回答から、おたふく風邪(ムンプス)が原因で難聴になった(ムンプス難聴)人が、平成27年1月~平成28年12月の2年間に少なくとも348人いたと発表しました。そのうち詳細が明らかな難聴336人を検討したところ、初診時に一側難聴が317人、両側難聴が15人で、うち274人(約80%)は高度難聴の後遺症が残っていました。難聴の発症年齢は就園や就学年齢そして子育て世代に多くみられました。

日本ではワクチン接種は過去に無菌性髄膜炎の発症例があったことから、定期接種ではなく単独で任意接種が行われており、接種率も30~40%と低率になっています。そのため毎年流行時期にはかなりの人が罹患し、時に大規模で流行します。今回は小児科を含まない耳鼻咽喉科単独の調査にもかかわらず、2年間に300人以上のムンプス難聴が報告されており、実際はもっと多くの発症者がいると推測されます。

ムンプス難聴はワクチン接種により予防できる後遺症であることから、定期予防接種化が要望されています。
(参考 日本耳鼻咽喉科学会ホームページ)