2003年以降の国際的動向として、空腹時血糖値(FBG)の正常域と境界域を区分する基準は100mg/dlとなっています。

日本での最近のエビデンスでは、「FBGが100~109mg/dlでも100mg/dl未満に比べると2倍程度糖尿病になり易い」こと、「FBG 100~109mg/dl」の人にブドウ糖負荷試験(糖尿病であるか否かの最終診断法)を行うと、25~40%の人が境界型、一部には糖尿病型の人が含まれていることで、境界域と正常域の区分自身は変えずに100~109mg/dlを正常域の中の『正常高値』と新たな分類が付け加えられました。

また、メタボを経由して糖尿病になるのは、糖尿病全体の約1/2だけであり、現在行われているメタボ健診でメタボと判定されなくても、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が5.2%を超えた場合には、他の糖尿病発症リスクの有無を勘案してブドウ糖負荷試験を受けることが勧められます。

糖尿病発症早期に比較的厳格なコントロールをすると、後々まで合併症や死亡率が少なくなる(=遺産効果)と報告されています。

一方で、糖尿病罹病期間が約10年で心血管疾患の既往が3割以上含まれる糖尿病が進行した集団のデータでは、HbA1c 6.0または6.5%未満を目指す「強化療法群」は、HbA1cがより高い「通常療法群」に比べて心筋梗塞や脳卒中発症を抑制できないばかりか、死亡リスクが高いという報告が昨年より幾つかあります。

以上の結果から、早期診断・早期治療が合併症を抑制するカギであることが明らかになりました。つまり、糖尿病の治療は「症状が出てから」頑張ったのでは遅すぎるということですので十分御注意下さい。