心不全は、さまざまな心疾患がたどる終末像であり、高齢者が最も気を付けなくてはいけない心臓のトラブルの一つです。高齢化とともに心不全発症率は増加するため、高齢化が著しい日本では近年、心不全の患者さんが急増しており「心不全パンデミック」とも称されています。

高齢者の心不全は症状がはっきり現れないことも多く、症状があっても「年のせい」と思い込み、放置していることが少なくありません。早期発見のためには「今までできていたことができなくなったら、心不全を疑う」ということが重要です。

年をとると、体力がなくなり、坂を登っただけで、「ゼィゼィ」「ハァハァ」することがあります。しかし、このような変化は、急に起こるわけではありません。少し前はできたことができなくなったり、急に体力が落ちたと感じたりした場合、心臓に何らかの異常がある可能性があります。

「少し歩いただけで息切れがする」「重い荷物を持って歩けなくなった」など、普通にできていたことが大変になったら、「老化」と片付けず、かかりつけ医に相談するようにしましょう。