ご高齢の方が、下血したと言われ受診される事がよくあります。大腸癌やポリープからの出血、潰瘍性疾患からの出血、内痔核からの出血が疑われますが、診療をしていて意外と多いのが虚血性大腸炎です。

虚血性大腸炎とは、大腸支配血管の虚血、閉塞により生じ、動脈硬化の進行した高齢者に多く、基礎疾患として糖尿病、血管炎を生じるような膠原病の方もおられます。また、血管収縮を起こすジゴキシンや経口避妊薬等の薬物が誘発したと考えられる症例報告もあります。

一過性型が多く、絶食、輸液、抗生物質投与等の保存的療法で予後良好な方が多いようです。

下血されると、悪性疾患を予想し、絶望感をもって受診される方が多いのですが、このような症例もございますので、最近使用された薬剤等が分かるようにして、早めに受診していただけたらと考えます。