日本では1981年以来、癌が死亡原因の第1位となっています。そのうち大腸癌による死亡者数は年々増加し続けており、2003年には女性では胃癌を抜いて悪性新生物の中で死亡原因の第1位になり、男性では肺、胃、肝癌に次いで第4位ですが、近い将来消化器癌の中で第1位になると予想されています。また、大腸癌の死亡率は男女共通の傾向として40歳から増加し50歳代から急増しています。大腸癌の増加は、人口の高齢化による大腸癌罹患者の増加と環境要因の影響が大きいとされています。

「ヒトの癌」の原因を「遺伝的なもの」と「環境的なもの」に大きく2つに分けると、遺伝的な原因は癌の種類によって0~42%と説明されており、約7割が環境によるものです。この環境要因の内訳は、食事が35%、喫煙が30%、感染症が10%と報告(アメリカ)されています。さらに食事については、食生活の欧米化と表現されるように、貯蔵肉(ハム、サラミ、ベーコンなど)、赤身肉(牛、羊、豚)、アルコールが発癌のリスクということがわかっています。実際、アメリカなどに移住した日本人の大腸癌が白人並みの頻度にまで増えているのです。

次回は、大腸癌発見の検査法についてお話したいと思います。