愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎主任研究員らは、飲酒後に体内でアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの代謝能力が、3タイプある遺伝子型によって(1)正常(2)低い(3)ほとんどない―と違うことに注目して、飲酒と膵臓癌との関係を、遺伝子型を絡めて調査しました。

平成13~17年に膵臓癌患者138人と、癌でない690人を対象に、遺伝子型や飲酒量を比較調査し、年齢や生活習慣を加味して膵臓癌のリスクを計算しました。

その結果、日本人の約5割を占めるとされるアセトアルデヒドを正常に代謝できる人に比べ、約4割の人は代謝に時間がかかるため、飲酒で顔が赤くなりやすく、このリスクが1.52倍でした。残りの1割の人は代謝能力がほとんどなく酒が飲めない体質のため、リスクは1.09倍にとどまりました。

また正常に分解できない2タイプの人は日本酒換算で1日1合アルコール摂取が増えると、リスクが3割増すことも分かりました。

松尾研究員は「酒を飲めると思っていても、知らずに膵臓癌の危険性を高めている人もいる。顔が赤くなるタイプの人は量や回数を減らして欲しい」と話しています。