グレープフルーツ(以下、G)がある種の血圧を下げる薬(降圧薬)と相性が良くない話は有名ですが、今回改めてご紹介します。

現在日本で使われている降圧薬は大きく7種類に分類され、このうち日本で最も多く使われているカルシウム(以下、Ca)拮抗薬が、Gを摂ると効き過ぎることが報告されています。これはG内のフラノクマリンという物質が、小腸に存在するCa拮抗薬を解毒・代謝する物質を阻害することにより起こります。つまり、Ca拮抗薬が小腸で代謝されずに、薬の吸収量が増えて血中濃度が上がり、血圧が下がりすぎる等の副作用が出てしまうのです。

フラノクマリンはGの皮、実、種のうち主に実の中に含まれるため、ジュースとして摂取しても良くないことになります。例えば、250mLのGジュースを飲むとCa拮抗薬の血中濃度が5~7倍に上がると報告されていますし、さらにその影響は3日間程度持続します。飲み合わせの程度には個人差があり、Ca拮抗薬の種類によっても異なりますが、いずれにせよ降圧薬は毎日飲むものですから、Ca拮抗薬を飲んでいる方はGを摂取しないことを原則として下さい。