2024年05月27日
わが国特有の入浴中の死亡(H13.1)
高齢化に伴い高齢者の入浴中の死亡が増えております。冬場に多く発生し、42℃以上の高温浴に長湯すると危険が増します。高齢者は心臓や脳の動脈硬化を伴っていることが多く、急激な血圧上昇とその後の低血圧、発汗による脱水、血液の濃縮、湯のぼせ、急に立つことによる脳の虚血などなどに順応できず、心不全に陥ったり意識を失ったり、心筋硬塞や脳硬塞を起して溺没したり、浴槽外で倒れたり、さらには就寝中に異常をきたしたりします。温泉ではお酒が多量になる傾向で飲酒後の長湯はさらに危険です。
欧米ではシャワーによる洗体のためこの種の事故はまれです。浴槽は身体を洗うところで時間も短いのです。深い浴槽に肩までゆったりつかる日本独特の入浴法が災いしております。銭湯では周囲の人が異常をいち早く発見し事なきを得ておりますが、内風呂が増えるにつれ事故も増えております。
予防は、お湯は38℃前後の中温浴とし長湯をしない、脱衣場を含めた浴室の暖房化、浴室を広くし浅い浴槽にする(溺没防止のため湯量を少なめにする)、高齢者の入浴では家族がときどき見に行くなどです。特に75歳以上の入浴は十分注意を要します。