2009年春に出現した新型インフルエンザ(以下、新型)の感染者数は同年12月13日までに1,500万人を超え、死亡者数は約130人と報告されています。この死亡率は、米国やメキシコの10分の1以下であり、日本人は症状が出るとすぐに病院にかかるため、早期治療が功を奏していると分析されています。

11月下旬に新型のピークは峠を越えたとみられ、その死亡率は例年の季節性インフルエンザ(以下、季節性)のそれを上回るものではなさそうです。しかし、過去に経験された新型のデータからは、決して安心は出来ないのです。20世紀に経験された3種類の新型が、いずれも2年または3年にわたり大流行を繰り返しているからです。

「スペインかぜ」では1918年11月の第1波で30万人、1920年の第2波で18万人が死亡。「アジアかぜ」は1957年の夏と秋の第1波、2波を合わせて4万人が死亡。1968年7月に最初の患者が発生した「香港かぜ」は、同年には大きな流行がなく、翌1969年前半と12月以降に3年間にわたり2回の大流行があり、7.8万人が死亡。特に、第1波より第2波の死亡者数が多く、第2波の流行に際してインフルエンザウイルスの抗原変異が起こって被害が拡大したと言われています。

従って、今回の新型も今後さらに第2波が想定され、今のうちにその備えが十分されるべきです。それは、普段からの手洗い・うがいはもちろん、新型ワクチン接種(まだ新型に罹患してない人対象)、インフルエンザが疑われたら、早期受診・早期治療をすることにつきます。