厚労省研究班(2006年)によると、糖尿病があると癌になり易さが、男性では1.27倍、女性では1.21倍高いことが報告されています。男性では、肝癌、腎癌、膵臓癌、結腸癌、胃癌の順に、女性では、卵巣癌、肝癌、胃癌の順に高いという結果でした。癌を合併し易い理由のひとつとして、糖尿病患者に存在するインスリン感受性低下を補うため、高インスリン血症やインスリン様成長因子の増加により、腫瘍細胞の増殖を刺激して癌化に関与すると考えられています。いずれの癌も、早期の段階で自覚症状が出ることは少なく、「自分は症状が無く体調が良いから」ということでは癌の存在を否定できませんし、血液検査による早期発見も難しいのが現状です。その他、糖尿病では原因がアルコールによらない脂肪肝:NASH(ナッシュ)を合併しやすく、NASHは、肝硬変に進行するとともにC型慢性肝炎と同程度の肝癌発症率が報告されています。

具体的には、集団検診や人間ドックで癌のふるいわけ検査として、年1回は胃内視鏡検査、便潜血反応、腹部超音波検査を受けることをお勧めします。特に現役時代は会社の定期健診を受けていても、定年退職後には止めてしまう方が少なくないので継続することをお勧めします。