新生児から2歳までに起こる突然死で、原因が不詳の場合をいいます。法医学の観点からは、心疾患や頭蓋内出血、窒息といった既知の疾患を除外することが重要のため、剖検が不可欠となります。剖検なしの安易な診断は虐待などによる外因死の隠れみのとして悪用されかねません。しかし、わが国における乳幼児の急死例の剖検率は20%程度と極めて低く診断が困難な状況にあります。このため暫定的に、剖検なしでもSIDSの可能性が極めて高い場合はSIDSの疑いとしています。

 原因は不明ですが、乳幼児は呼吸中枢が未熟なために、睡眠時無呼吸の覚醒反応が遅れることから引き起こされる、という説が有力視されております。うつぶせ寝、母親の妊娠時及び育児中の喫煙、人工栄養、ひとりで寝かせること、などが発生を高めるとされております。近年は若い母親の喫煙が増加しており、SIDS発生においても極めて憂慮されます。