アルコールは、肝臓で分解され、発がん物質となり、発がんリスクが高まります。少量のアルコールは持病の状態が良好であると、許容されるとされています。また、心疾患に関しては死亡率に 「Jカーブ効果」 があると言われています。Jカーブとは、比例的に飲酒量とともに死亡率が上昇するのではなく、Jの字のごとく、少量の飲酒は死亡率を一時的に減少させるという現象です。酒好きの人々には、心地良いものでしょう。死亡リスクを高めない飲酒量は、純アルコール量にして週に100gまでと言われてきました。しかし、最近の報告では、健康への悪影響を最小化するなら飲酒量はゼロが良いとされた研究結果がでました。少量のお酒は健康に良いという説は覆されつつあります。少量のアルコールは心血管には良い影響もあるのでしょうが、発がん性などの問題は少量でも無視はできなくなりました。純アルコール量で約10gまでは病気は緩やかに増加し、それを超えると病気は明らかに増えていくことが事実となりました。
 健康に留意しながら少量でも飲酒するということは、基本的に健康と相反することになります。人に勧めるなどあまり褒められたものではありません。多様性の時代に、このような情報は、大変悩ましい事態です。昨今、 日本酒、ウイスキー、ワインなどの日本のアルコールが脚光を浴びています。しかし、現実の社会では、健康に好ましくないことが明白になりそうです。 しっかり認識して行動しましょう。
(健康手帳 Vol.326より)