夏になって暑くなった時期に長引く咳が出る病気として「夏型過敏性肺炎」という病気があります。この病気の原因となる物質は酵母カビの1種であるトリコスポロン属のトリコスポロン・アサヒやトリコスポロン・ムコイデスです。

この菌は高温多湿な環境で腐木などを栄養源として発育するので、夏期に西日本を中心とした高温多湿の地域に発生しますが最近では我が国だけでなく韓国でも報告されています。

トリコスポロンの胞子を吸入後6~8時間して発熱、咳、呼吸困難が起こりますが、入院や旅行などで家を離れると自然に症状は治まります。長時間自宅にいる事の多い専業主婦に頻度が高くなる事も特徴です。最初は夏風邪として治療される事が多いのですが、微熱や咳が長く続く事で疑われる病気の一つです。

診断は胸部レントゲン写真や採血で確定します。根本的な治療は原因となる物質から離れるしかありません。内服薬で症状を抑える事も可能ですが、徹底的に原因を退治することが必要で中には転居、転職などを余儀なくされる人もあります。

他にカビが原因となる過敏性肺炎には、北海道や東北の酪農家にみられる「農夫肺」やエアコンや加湿器に生じたカビ類が抗原となる「換気装置肺炎」等もあります。微熱や軽い咳でも、長く続いている時には病院を受診して下さい。