これまで糖尿病治療に使われるOHAは6種類ありましたが、今年の4月にこれまでになかった新しいメカニズムの7種類目のOHA(SGLT2阻害薬)が発売されました。すでに新聞等のマスコミでご存知の方も居ると思いますが、改めてご案内します。

腎臓は血液を濾過して老廃物を尿に排泄する役割があります。腎臓に流れてきたブドウ糖も一旦濾過されて尿中に排出されますが、健常者ではこの「尿中に出たブドウ糖」が全て再吸収されて血液の中に戻されます(その結果、尿中に尿糖は検出されません)。

糖尿病では尿中へ多くのブドウ糖が出ていくのですが、SGLT2阻害薬は、尿から血液内へのブドウ糖の再吸収を阻害することで、より多くのブドウ糖を強制的に尿中へ排泄させて血糖値を下げるのです。

ここまで少し難しい話となりましたが、同薬の長所は、(1)インスリンと関係なく血糖値を下げられること、(2)メタボリック症候群を伴った糖尿病に効果的で、体重減少効果をあわせ持つことです。

一方、問題点としては(1)尿量が増えるため、脱水になり易い高齢者には注意が必要であること、(2)尿にブドウ糖を多量に出すため尿路感染症が起こり易いことが挙げられます。