近年、日本では、成人男性の肥満が増加している一方、若年女性では、やせが増加していることが問題になっています。このやせの増加は小児期より始まっており、6-14歳女子の18.1%はやせ(肥満度-20%未満)またはやせ傾向(肥満度-10~-20%)です。

やせ女性が増加している要因は、やせ願望が強いことで、このやせ願望は、低年齢化が進み、小学生女子にも増えています。2006年にファッションモデルが拒食症で死亡したことに象徴される様に、社会がやせ体型を称賛する傾向にあることが、やせ願望の大きな要因になっています。

実際の食生活では、20-29歳女性の25%が朝食を摂っておらず、摂取エネルギー、カルシウム、鉄が不足しています。こうした不健全な食生活に加えて、サプリメントへの過剰な依存のため、結果として眠気、疲労感および倦怠感が強くなります。

さらに、最近の妊婦および授乳婦でみても、上記項目が同様に不足しています。妊娠前のやせ、妊娠中の体重増加不良は、胎児の栄養状態を不良にして、低出生体重児(出生時体重が2500gr未満)となるばかりでなく、臓器も発育不全になります。この状態で生まれた子供が出生後に十分な栄養を摂取する様になると、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドローム等に罹患(りかん)し易くなります。

前述のモデルの死亡後、欧米では、モデルについて、過剰なやせの状態では出演を許可しない等の対策が始まっていますが、小学生から食生活指導を含めた早期の対策が必要です。