2024年05月24日
骨粗鬆症と糖尿病との関連について
骨粗鬆症とは骨の強度が低下し、骨折の危険性が増加した状態と定義されますが、日本での患者数は1,000万人以上とされます。
骨の強度は骨量および骨質の両者の影響を受けます。骨量の維持には重力の負荷が重要で、寝たきりでは減少し、肥満では増加します。これまで肥満者では脂肪量の増加が骨量の増加の原因と推測されていましたが、最近は、脂肪量よりも筋肉量が骨量に及ぼす影響が大きいことが示されています。但し、肥満が必ずしも骨折の危険率の低下につながるかは明らかになっていません。
次に、糖尿病患者では骨量の多少にかかわらず、骨折の危険性が高いことが明らかにされており、正常に比べて、2型糖尿病では1.7倍に、1型糖尿病では7倍以上に骨折しやすいことが報告されています。
この糖尿病での骨粗鬆症には以下の原因が挙げられます。
(1)正常な骨質を維持するコラーゲンに糖がくっ付くことで骨の強度が低下する。
(2)高血糖による尿へのカルシウム排泄増加およびビタミンD不足。
(3)インスリン不足に基づく骨量の減少(骨芽細胞の増殖低下、コラーゲン合成の低下)。
(4)神経症や網膜症の合併による転倒危険性の増加。
治療に関しては、食事療法単独による減量では、骨量が減少してしまいますが、運動療法による減量では骨量は減少しません。さらに、食事摂取量の制限の際にはカルシウム不足にならない様に1日1.6gr以上の十分なカルシウム摂取が必要です。