報道でご存じの人も多いと思いますが、 令和5年12月20日にアルツハイマー型認知症に対する治療薬「レカネマブ (商品名レケンビR)」が保険適応となりました。これまでの治療薬と異なり、 効果が出た場合病気の進行が7から8カ月止めることが可能になり、臨床症状的には最長3年間ほど症状の進行が止まるとされています。
 ただ使用できる人はかなり限られます。 この薬の治験を行った時でさえ多くの人が適応にならなかったという経緯があります。認知症の前段階とされる軽度認知障害か軽度のアルツハイマー型認知症の人に限られます。物忘れがあってもアルツハイマー型認知症によるものでない場合、 脳MRI検査において治療による副作用のリスクが高い特有の所見を認めた場合などは治療対象アルツハイマー型認知症の新しい治療外と判定されます。 さらに特に重要なのが脳へのアミロイドβの蓄積が認められることです。 アミロイドβの蓄積を証明する検査としては、アミロイド PET という核医学検査と、髄液検査があります。 どちらかの検査でアミロイドが蓄積されているという証明が必要です。
 早期の認知症と思って受診したが、 この治療を受けられない可能性はかなりあります。治療を受けられる場合2週間に1回1時間程度の点滴を1年半に渡って継続する必要があります。 使い始めて数ヶ月以内に、脳が腫れたり、脳に少量の出血が生じたりするなどの報告があります。そのため治療を開始できる施設も極めて限られています。治療を受けたいと思う人は専門医療機関へお問合せください。
(健康手帳 Vol.331より)