子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。
 子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず、多くの人々がHPVに感染します。そして、そのうち一部の女性が子宮頸がんを発症することになります。HPVワクチンはその感染を予防しますが、すでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。そのため、HPVワクチンの定期接種は性交渉を経験する前の小学校6年生(12歳)から高校1年生相当(16歳)の時期に設定されています。
 日本では、2013年から、副反応問題のため接種勧奨の差し控えが9年間続いていましたが、HPVワクチンの効果と安全性に関する多くの知見が得られたため、2022年4月より定期接種の積極的接種勧奨が再開されました。さらに接種機会を逃してしまった女性への「キャッチアップ接種」も開始されています。対象者は、誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日の女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方となります。この貴重な機会を活かし、ワクチン接種を受けることを強くお勧めします。子宮頸がんの予防に積極的に取り組み、健康を守りましょう。
(健康手帳 Vol.328より)