2024年05月24日
食生活と生活習慣病(その1)
朝食を抜く人は朝食摂食者に比べて4.5倍も肥満になり易く、朝食を抜くと昼食時に食欲が亢進して1日の総エネルギー摂取量が増加することが原因と考えられます。さらに、肥満者に多い食パターンに夜食症候群があります。これは、「午前中の食欲低下」、「夜間の過食」、「不眠」などを特徴とし、1日の総エネルギー摂取量は特に増えずに、食事の比重が夜間に多くなっています。夜間の覚醒と摂食は体内時計を狂わせ、結果として代謝異常を引き起こし肥満をもたらします。
一方、食事の質から見ると、食後に遅延したインスリン分泌過剰をもたらす食事は、血糖低下により摂食行動を促進することになり、肥満やインスリン抵抗性の原因となります。つまり、グリセミックインデックス(GI値、一定量の糖質摂取後の血糖値上昇度を白米を基準にした指標)の高い食品が問題と言えます。
次に、ダイエットの注意事項をお話します。脂肪組織から分泌されるレプチンは、中枢に働いて摂食を抑制し、エネルギー消費も亢進させます。血中レプチン濃度は、肥満するほど上昇しますが、肥満者ではレプチンが効きにくいために、高レプチン血症による十分な抗肥満効果が得られません。急激なダイエットをして体重を急に減らすと、体は栄養不足と勘違いしてレプチン分泌量を減らし、その結果、強い空腹感・過食が起こり、かつエネルギー消費が減少して体重は下げ止まり、リバウンドを起こし易くなります。
従って、ダイエットをする際には、一定期間は体重を維持してリバウンドの起こり易い状態を一旦減弱させてから再度減量をする工夫が必要です。