耳の穴(外耳道)は、深さが3センチ前後で、突き当りには鼓膜があります。鼓膜は厚さがわずか0.1ミリの非常に薄い膜で、ここで音を拾って3個の耳小骨を順に振動させ、内耳の蝸牛へ伝えます。

耳が痒い時 綿棒などで耳をかきたくなるものです。しかし耳かきは やり過ぎると外耳道の皮膚を傷付け、ばい菌が入り込んで外耳炎になることがあります。ひどくなると痛くて食物を噛めず、激痛で夜も眠れなくなることがあります。

また、耳かきをしている最中に子供がじゃれてぶつかってきたり 動くものが大好きな猫が遊んでもらおうと飛びついてきて鼓膜を突き破ってしまうこともあります。

さらに、布団の中で耳かきをしていれば 至福の時間が過ぎている間にうっかり寝込んでしまうと、寝返りした瞬間、綿棒や耳かきが鼓膜を突き破り、激痛で目が覚め出血。聞こえが悪くなり、耳鳴を伴うこともあります。

でも鼓膜が破れたからといって大きな心配はいりません。穿孔の大きさによりますが、多くの場合自然に再生して塞がります。但し、シャワーの湯が入ったりして化膿し、耳漏が出ると長引きます。いずれにしても耳かきは程々にしましょう。

文責 やかた耳鼻科クリニック 矢形 礼貴