これは胸が焼けるような感じからくる症状をいいます。若い人ほど強く感じるようですが、高齢者ではあまり強くなく長く続く傾向です。これは胃酸(強い塩酸)が食道へ逆流して、食道粘膜にある酸を感じるセンサーが働いて感じるのです。胃と食道のつなぎ目には下部食道括約筋があり、いつもは閉じていて、胃の内容物が逆流しないようなバルブの働きを持っています。食べたときだけに開きます。ここが緩むと胃酸が食道に逆流します。

緩む原因として、食べ過ぎ、飲み過ぎ、油っこい食事、香辛料のよく効いた料理などを食べることがあげられます。また、太りすぎ、妊娠、前かがみの姿勢などは腹圧が上がって、つなぎ目が押し開くことになり逆流します。高齢者に多いのが横隔膜の筋肉のゆるみによるものです。これは下部食道括約筋の外側の横隔膜との間ですき間が生じ、胃の一部がすき間を押し開いて胸腔に脱出する状態で「裂孔ヘルニヤ」といいます。

胃酸の逆流が重なると食道の粘膜がただれてきますが、胃酸を抑える薬を中心とした治療が必要になります。