過去に肺気腫と慢性気管支炎と呼ばれた疾患概念が統一して慢性閉塞性肺疾患(COPD)と総称されています。

COPDは従来男性に多いと考えられていましたが、男女間の喫煙率が同等のオーストリアでは、COPDの有病率がほぼ同等と報告されています。さらに、米国ではCOPDによる女性の死亡率が増加し、2000年には男性より多くなっています。つまり、喫煙を中心とした生活環境や職場環境が同じであれば、COPDの有病率が同一になる可能性が示唆されています。

一方、日本の疫学調査では、COPDの有病率、死亡率とも男性は女性の約3倍ですが、喫煙率は男性で漸減、女性では増加していることより、将来的にわが国でも女性のCOPDの有病率が増加することが推測されています。

さらに近年では、喫煙量が同じであれば、女性が男性よりCOPDを発症しやすいことが報告されています(但し、女性の方が喫煙の影響を受けやすい理由は不明の点が少なくないのですが)。したがって、女性には男性以上に喫煙を避けていただきたいところです。