血圧のはなし(H11.10)
自宅で血圧を測る人が増え、自宅と医療機関とで差が生じ、一喜一憂の場面も見られます。血圧は心臓の収縮で血管内に送り込まれる血液が、血管の壁に及ぼす力をいいます。心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧(最高血圧)といい、心臓が拡張したときを拡張期血圧(最低血圧)といいます。
血圧はいつも一定ではなく状況で変化します。普通、朝方から上昇し始め、日中の活動期は高く、夜の安静時は低くなります。冬に高く、夏に低いという季節による変動もあります。また精神的に緊張したり、怒ったりすると一時的に高くなります。どのような状況で測ったかが大切です。通常は医療機関や検診で、日中、座位で測った血圧を、その人の血圧とします。家庭血圧はあくまで参考値で、測定の仕方で上下もしますので、正しい測定が望まれます。
家庭で測るときの注意。
同一時刻で、少なくとも5分間の安静後に。会話しながらでは高くなります。食事や入浴後は30分以上たってからにする。飲酒直後は少し下ります。
高血圧が長期間続くと、主要な臓器(心臓・脳・腎臓・大血管)に障害をもたらします。正常な血圧とはこれら臓器に及ぼす影響が少ない値をいい、成人の日中の正常値は140/90以下とされています。最近の米国ではさらに低く設定される傾向です。
高血圧の約90%は原因不明の本態性高血圧です。遺伝因子、塩分、飲酒、肥満、ストレス、加齢、喫煙等が影響します。二次性高血圧の原因では腎臓疾患や内分泌疾患が多く、比較的若い人で、血圧の動揺が激しい場合はよく調べる必要があります。
高血圧があっても多くは無症状です。しかし長期間放っておくと動脈硬化が進み、脳では脳硬塞・脳血栓・高血圧脳症、心臓では心肥大・心不全・狭心症・心筋硬塞、腎臓では腎硬化症・腎不全、血管では大動脈瘤・閉塞性動脈疾患などが心配されます。
治療はこれらの合併症を引起こさせないように、早期に適切にコントロールすることですし、二次性では原因疾患の治療となります。血圧の管理は大切です。医師の指示によく従いましょう。