ニコチンはたばこに含まれる三悪(ニコチン、タール、一酸化炭素)の一つです。ニコチンが入ると血液中のぶどう糖が増えるので疲労感や空腹感が和らぎます。筋肉の緊張が高まり指が細かく震えるようになります。全体としては多少興奮したような気分や、頭がすっきりして目が覚め、疲労がとれた感じになります。これは感じるということであって、あくまでも錯覚なのです。普通人に比べて能力や筋肉その他の働きはおちていきます。

 ニコチンはヘロインやコカイン、モルヒネといった麻薬と薬理作用が似ており、習慣性の最も強い物質です。十代で喫煙を始めると、止めるのがきわめて難しくなります。十三歳から二十四歳までの間でたがこを吸わない人は、その九十五%がそれ以降も吸わないと言われます。大人になっての喫煙の開始は非常に少ないものです。最近、小・中・高校生と進むにつれ喫煙率が高くなる傾向ですが、それは自分と周囲の人への健康障害といった問題意識のなさと、喫煙を許す多くの環境があるからです。予防医学の見地からも、十代の青少年の喫煙を防ぐことが急がれます。麻薬、覚醒剤の前にたばこあり。ニコチンは麻薬への入り口の薬物なのです。