最近、急激に寒くなり夜間にトイレに行くことが増えてきたと思います。今回は夜間頻尿について少し話をしてみます。
 夜間頻尿とは、夜寝ている間に1回以上排尿に起きなければならない症状であり、特定の疾患を指す病名ではありません。前立腺肥大症や過活動膀胱などでみられる下部尿路症状のひとつですが、 高血圧などの循環器疾患、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患、うつ病や睡眠障害とも関係があるとされています。
 40歳以上の人の約70%に夜間頻尿があるとされており、きわめて頻度が高く、また一般に年を取れば取るほど回数も増えていく傾向があります。
 さらに、高齢者が夜間トイレに行くとふらつきやすく、転倒の原因になります。それゆえ夜間頻尿の患者さんは夜間転倒しやすく、骨折を起こす頻度も高いとされています。かかっている病気などの背景因子に差がない人々を比較検討しても、夜間頻尿を伴う人は伴わない人々に比べて死亡率が高いという研究結果も報告されています。夜間頻尿は転倒による外傷を引き起こすだけでなく、すでにかかっている病気を悪化させてしまう可能性があり、全身的な影響も大きいのではないかと考えられます。
 夜間頻尿のある人は、一度受診してみては?
(健康手帳 Vol.330より)