便秘に悩まれる人は数多く (男性の 2.6%、 女性の4.9%)、 若年者からまんべんなく発症する女性と比べ、男性では60代くらいから高齢発症します。
 便が出ないだけでなく、 便秘症があるだけで15年後の生存率が17%も低下するという恐ろしい報告(Chang ら、2020年) もあります。 トイレで強くいきむと、脳血管や呼吸器への強いストレスとなり、脳出血などの急性期疾患につながるためと言われています。 事実、 トイレ排便中に倒れて救急搬送されたり、宿便症状やその後の腸炎症状などで病院を受診される人は少なくありません。
 いざ便秘となると、 皆さんは食事などで改善を試みますが、 普段の食事が極端に悪い人を除き、 その食事療法の効果は限定的です。 野菜を食べれば良いかといえば、バランスの悪い食物繊維摂取はむしろ消化に悪く、 便秘症状を悪化させることにもつながりかねません。
 背景に大腸がんなどの病気が隠れていることもあるので、まずは積極的に病院を受診し、 大腸内視鏡検査を受けて病気を除外することが一番です。 その上でお薬でコントロールすることが大切です。 テレビで便秘にはバナナが良い、 納豆が良い、 玉ねぎが良いと言っていても、生涯にわたりその食事を続けることは困難です。 自分に合った良い薬で楽にコントロールする方がはるかに安全で楽とも言えるでしょう。