韓国や日本、東南アジアで大量の鶏が死んだ高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の発生はアジア地域に限局していました。それが平成17年夏以降、アジアでは中国、ヨーロッパではロシア、カザフスタン、トルコ、ルーマニア、クロアチアで家禽や野鳥から発見されています。

世界保健機関(WHO)によると、H5N1型の鳥から人への感染は平成17年10月24日現在でベトナム、タイ、インドネシア、カンボジアのアジア4カ国で計121人が確認されており、その内62人が死亡しています。

H5N1型には「人から人へ感染する」という変異は今のところ確認されていませんが、過去に世界で約5000万人もの死者を出したスペイン風邪ウイルスを復元したところ、スペイン風邪は鳥のウイルスが変異したもので、変異の複数個所がH5N1型と共通していることが判明しました。

このような状況から、鳥インフルエンザから新型インフルエンザへと変異し大流行する可能性も考えられるため、世界規模でワクチンの開発、抗ウイルス薬の増産・備蓄が始まりました。日本でも厚生労働省から新型インフルエンザが発生した場合の行動計画概要案が公開されました。