健康診断で「動脈硬化」という言葉がよく使われます。これは病名ではなく動脈の状態を表す用語で血管の内腔が狭くなるため血流が悪くなり狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症などを起こします。

動脈は外膜、中膜、内膜の3層からできており特に内膜の変化が重要です。年齢が高くなるにつれ、コレステロールを中心とした脂肪沈着が内膜に起こり「脂肪斑」と呼ばれる状態になります。この「脂肪斑」が大きくなり、血管の内側に向かって盛り上がるため血管自体は狭くなってしまいます。この変化は20歳代から起こり50歳代以上で病気を起こしやすくなります。つまり、症状が自覚できるようになった時は、すでに20~30年に及ぶ沈黙の「動脈硬化の進行」があったと考えなくてはなりません。

動脈硬化のリスクは高脂血症、糖尿病などで特に高くなります。また運動不足やストレスも原因になります。遺伝や年齢、性差も関係する事があり家族歴の中に前述した病気の人がいる場合も注意が必要です。

治療は食生活の改善と運動が基本ですが重大な病気になることを避けるため内服薬を使用することも多くあります。健康診断で動脈硬化を指摘された際には症状がなくとも治療を開始してください。